制度・ルール

休憩時間のルール:45分と1時間の境目、「途中に与える」の意味

更新日:2026-09-15

「今日は忙しくて昼休みが取れなかった」「電話番をしながら食べた」。こうした日の休憩時間を、勤怠の記録ではどう扱えばいいのでしょうか。

休憩は実働時間から差し引かれるため、この扱いを誤ると労働時間の集計が変わります。労働基準法34条が定めるルールを整理します。

与えるべき休憩時間

1日の労働時間必要な休憩
6時間以下不要
6時間を超え8時間以下45分以上
8時間を超える1時間以上

条文は「6時間を超える場合」「8時間を超える場合」と書かれているため、ちょうど6時間・ちょうど8時間の場合は、その区分の義務は生じません。6時間ちょうどなら休憩は不要、8時間ちょうどなら45分で足りる、という読み方になります。

残業すると必要な休憩が変わることがあります

所定労働時間が7時間45分・休憩45分の会社で、30分残業して実働8時間15分になった場合。8時間を超えるため、必要な休憩は1時間以上になります。不足する15分を追加で与える必要が生じることになります。
所定が8時間ちょうどの会社でも、1分でも残業すれば同じことが起きます。

休憩の3つの原則

原則内容
途中付与労働時間の途中に与えなければならない
一斉付与事業場の全労働者に同時に与えなければならない
自由利用休憩時間は労働者の自由に利用させなければならない

途中付与:始業前や終業後にまとめるのは不可

「休憩を取らずに1時間早く帰る」という扱いは、労働時間の途中に与えたことにならないため認められていません。残業が長引いた日に、終業後に休憩時間を足して調整する形も同じです。

一斉付与:労使協定があれば例外にできる

原則としてすべての労働者に同時に与えることとされていますが、労使協定を結べば適用を除外できます。交替で昼休みを取る職場の多くは、この協定にもとづいています。

また、次の業種は労使協定がなくても一斉付与の対象外とされています。

  • 運輸交通業
  • 商業
  • 金融・広告業
  • 映画・演劇業
  • 通信業
  • 保健衛生業
  • 接客娯楽業
  • 官公署

小売店や飲食店、病院などで店員や職員が交替で休憩を取れるのは、この例外があるためです。

自由利用:業務から完全に解放されている必要がある

休憩時間は労働から解放されていることが条件です。ここが、実務でいちばん問題になりやすい部分です。

休憩にあたらない時間

業務から解放されていない時間は、たとえ食事をしていても休憩ではなく労働時間にあたると考えられています。

場面考え方
昼休みの電話番・来客対応席を離れられない以上、労働時間にあたるとされている
手待ち時間(次の作業を待っている時間)一定の場所に拘束されているなら労働時間にあたるとする行政解釈がある
呼び出しに備えた待機実作業に従事していなくても、指揮命令下と評価される場合がある
持ち場を離れられない休憩自由利用が確保されていないため、休憩とみなされない可能性がある

最高裁は、労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、これにあたるかどうかは労働契約や就業規則の定めによってではなく客観的に定まるとしています。「休憩時間」と記録されていても、実態が伴っていなければその通りには扱われない、ということになります。

休憩が取れなかった日の記録

休憩を取れなかった日は、その分だけ実働時間が長くなります。勤怠システムが休憩60分を自動で差し引く設定になっている場合、実際には働いていた時間が記録から抜けることになります。

9:00〜19:00の勤務で休憩を取れなかった場合

休憩60分として記録休憩0分の実態
実働時間9時間10時間
時間外労働1時間2時間

1日で1時間の差です。月に5日あれば5時間になります。

実際に休憩が取れたかどうかを日ごとにメモしておくと、記録との差を確かめられます。記録の端数がどう扱われるかは15分単位の切り捨ては違法?で整理しています。

休憩を分割して与えることはできるか

労働基準法は休憩を一度にまとめて与えることまでは求めていないため、分割して与えることは可能とされています。45分を15分ずつ3回に分ける、といった形です。

ただし、細かく分割しすぎて実質的に休息にならない場合は、自由利用の原則との関係が問題になり得ます。実際の運用がどうなっているかは就業規則で確認できます。

まとめ

  • 労働時間が6時間超で45分以上、8時間超で1時間以上。ちょうどの場合はその区分の義務は生じない
  • 残業で8時間を超えると、必要な休憩が45分から1時間に変わる
  • 3原則は途中付与・一斉付与・自由利用
  • 一斉付与は労使協定で除外でき、運輸交通業・商業・保健衛生業など8つの業種は協定なしで例外
  • 電話番や手待ち時間など、業務から解放されていない時間は休憩にあたらない

休憩時間は実働時間の計算に直接効いてきます。記録上の休憩と実際に取れた休憩が違う日は、その差を書き留めておくと後から確認しやすくなります。

入力した休憩時間が労働基準法の基準を下回っている場合、計算画面に注意が表示されます。実働時間とあわせて確認できます。

勤務時間計算機で確かめる →

登録不要・完全無料/入力内容はサーバーに送信されません

この記事を書いた人

都内在住。Web制作・デザインに20年以上携わり、現在はインハウスでWeb制作や改善業務に関わっています。会社員として勤怠管理や残業の集計を自分で行ってきた経験をもとに、労働時間まわりの仕組みをできるだけわかりやすく整理して発信しています。

この記事の位置づけ

労働基準法の一般的な内容を整理したもので、個別の事案について結論を示すものではありません。就業規則や労使協定の内容によって取り扱いは変わります。実際の判断が必要な場合は、勤務先の担当部署か、所轄の労働基準監督署・総合労働相談コーナーにご相談ください。

参考・出典

※2026年9月時点の法令にもとづいています。記事内の金額はすべて当サイトの独自試算で、割増率は労働基準法が定める最低基準を用いています。就業規則でこれより高い率を定めている場合は結果が変わります。