疑問解消

勤務時間の15分単位の切り捨ては違法?端数処理のルールを確認する

更新日:2026-09-15

タイムカードに「18:07」と打刻されているのに、集計では18:00として処理されている。こうした15分単位・30分単位の切り捨てを見かけることがあります。

これが認められるのかどうかは、1日ごとに切り捨てているのか、1か月の合計に対して端数処理をしているのかで扱いが分かれます。

1日ごとの切り捨ては認められていない

労働基準法24条は、賃金は全額を支払わなければならないと定めています(賃金全額払いの原則)。1日ごとに15分未満や30分未満を切り捨て、その分の賃金を支払わない扱いは、この原則に触れるとされています。

1日7分の切り捨てが1か月でいくらになるか

条件数字
1日あたりの切り捨て7分
月の出勤日数20日
1か月の切り捨て合計140分(2時間20分)
時給1,200円で換算2,800円

1日あたりでは小さく見えても、1か月では2時間を超えます。これが時間外労働の時間帯であれば、割増分も含めて差が広がります。時給そのものの出し方は残業代の基礎になる時給の出し方で扱っています。

就業規則に書いてあっても効力を持ちません

「勤務時間は15分単位で計算する」と就業規則に定められていても、それによって実際に働いた時間の賃金が支払われないのであれば、その部分は労働基準法に反するため効力を持たないとされています。労働基準法に定める基準に達しない労働条件を定めた契約は、その部分について無効になると13条が定めています。

1か月の合計に対する端数処理は認められる場合がある

一方で、事務を簡単にするための端数処理については、行政通達(昭和63年3月14日 基発第150号)が一定の範囲を示しています。

対象認められる処理
1か月における時間外労働・休日労働・深夜労働のそれぞれの合計時間数1時間未満の端数について、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる

この扱いには2つの条件があります。

  • 1か月の合計に対して行うこと。1日ごとの端数処理は対象外です
  • 切り捨てと切り上げがセットであること。切り捨てだけを行う運用は認められていません

「それぞれの」という点も見落とされやすい部分です。時間外・休日・深夜をまとめて合計してから端数処理するのではなく、区分ごとに合計してから処理します。割増率が区分ごとに違うためです。

切り上げ運用は問題にならない

逆に、実際より多く支払う方向の処理は労働基準法上の問題になりません。「15分単位で切り上げる」「10分を超えたら30分とみなす」といった運用は、労働者にとって不利にならないため認められます。

会社によっては、始業前は切り上げ・終業後は切り捨て、といった非対称な運用が行われていることがあります。この場合、切り捨て側が問題になります。

自分の記録と会社の集計を突き合わせる

差があるかどうかを確かめるには、まず自分の側で1分単位の記録を持っておくことが出発点になります。

やること内容
実際の時刻を記録する出勤・退勤・休憩を分単位でメモしておく
1分単位で合計する切り捨てなしの実働時間と時間外時間を出す
給与明細と比べる記載されている時間外労働の時間数と照らし合わせる
差の原因を確認する端数処理なのか、休憩の扱いなのか、区分の違いなのかを切り分ける

差が端数処理によるものであれば、それが1か月単位の処理なのか1日単位なのかで話が変わります。数字が手元にあると、勤務先の担当部署に確認するときも具体的に聞けます。

勤務先に直接聞きにくい場合、各都道府県の労働局や労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーで、無料で相談を受け付けています。予約不要で、労働者・使用者どちらからの相談にも対応しています。

まとめ

  • 1日ごとの切り捨ては賃金全額払いの原則(労基法24条)に触れるとされている
  • 就業規則に書かれていても、その部分は効力を持たないとされる
  • 1か月の合計に対する30分未満切り捨て・30分以上切り上げは行政通達で認められている
  • ただし区分ごとに合計してから処理し、切り捨てだけを行うことは認められない
  • 切り上げ方向の運用は労働基準法上の問題にならない

まずは自分の勤務時間を1分単位で出してみると、会社の集計との差がどれくらいあるのかが見えてきます。差の有無を確かめるところから始められます。

このツールは時間を1分単位でそのまま計算します。会社の集計と比べると、端数がどれくらい積み上がっているかを確認できます。

勤務時間計算機で確かめる →

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この記事を書いた人

都内在住。Web制作・デザインに20年以上携わり、現在はインハウスでWeb制作や改善業務に関わっています。会社員として勤怠管理や残業の集計を自分で行ってきた経験をもとに、労働時間まわりの仕組みをできるだけわかりやすく整理して発信しています。

この記事の位置づけ

労働基準法の一般的な内容を整理したもので、個別の事案について結論を示すものではありません。就業規則や労使協定の内容によって取り扱いは変わります。実際の判断が必要な場合は、勤務先の担当部署か、所轄の労働基準監督署・総合労働相談コーナーにご相談ください。

参考・出典

※2026年9月時点の法令にもとづいています。記事内の金額はすべて当サイトの独自試算で、割増率は労働基準法が定める最低基準を用いています。就業規則でこれより高い率を定めている場合は結果が変わります。