夜勤の勤務時間の数え方:日をまたぐシフトと仮眠時間の扱い
更新日:2026-09-15
夜勤のシフト表を見ながら「今月は何時間働いたのか」を数えようとすると、日付が変わる勤務で手が止まります。22時に出勤して翌朝7時に上がった日は、どちらの日の労働時間になるのでしょうか。
日をまたぐ勤務は1つの勤務として通算する
労働時間としては、日付が変わっても継続した1つの勤務として扱い、出勤した日の労働時間に通算するのが原則です。
22:00出勤 → 翌7:00退勤・休憩60分
| 項目 | 時間 |
|---|---|
| 拘束時間 | 9時間 |
| 休憩 | 1時間 |
| 実働時間 | 8時間 |
| 時間外労働 | 0時間(8時間以内のため) |
| 深夜労働 | 7時間 |
この8時間はすべて、出勤した日(前日)の労働時間として数えます。翌日に4時間分を振り分ける、という扱いにはなりません。
日付で切ると労働時間が短く見えます
「22時〜24時の2時間」と「0時〜7時の7時間」に分けて別々の日に計上すると、どちらの日も8時間以内に収まり、時間外労働が発生しないように見えてしまいます。
たとえば22時出勤・翌9時退勤(休憩1時間・実働10時間)なら本来2時間の時間外労働が発生しますが、日付で分けると見落とすことになります。
深夜帯は22時〜翌5時まで
深夜割増の対象は22時から翌朝5時までです。夜勤だからといって全時間が深夜になるわけではありません。
| 勤務時間帯 | 実働(休憩60分) | 深夜にあたる時間 |
|---|---|---|
| 17:00〜翌2:00 | 8時間 | 4時間(22時〜2時) |
| 20:00〜翌5:00 | 8時間 | 7時間(22時〜5時) |
| 22:00〜翌7:00 | 8時間 | 7時間(22時〜5時) |
| 0:00〜9:00 | 8時間 | 5時間(0時〜5時) |
22時〜翌7時の勤務では、5時から7時までの2時間は深夜帯を外れるため、深夜労働は7時間です。逆に20時〜翌5時の勤務も、深夜にあたるのは22時からの7時間になります。
16時間勤務の2交替制
医療・介護の現場などで見られる、日勤と夜勤の2交替制のケースです。
16:30出勤 → 翌9:30退勤・休憩120分
| 項目 | 時間 |
|---|---|
| 拘束時間 | 17時間 |
| 休憩 | 2時間 |
| 実働時間 | 15時間 |
| 法定内 | 8時間 |
| 時間外労働 | 7時間 |
| 深夜労働(22時〜5時) | 7時間 |
1回の勤務で7時間の時間外労働が発生します。これが月に何回あるかで、36協定の上限にどれくらい近づくかが決まります。深夜帯の7時間には、時間外の25%に深夜の25%が加わって1.5倍の割増がつきます。
2交替制では1回の勤務が長いぶん、月の勤務回数が少なくても時間外労働は積み上がります。回数だけでなく時間で見ておくと、上限との距離が把握しやすくなります。
仮眠時間は労働時間にあたるか
夜勤で仮眠が設けられている場合、その時間が労働時間になるかどうかは、実際にどう拘束されているかで判断されます。
最高裁は、ビル管理会社の従業員に与えられた仮眠時間について、仮眠室での待機と警報が鳴れば直ちに対応することが義務づけられていた事案で、実作業に従事していない時間も含めて使用者の指揮命令下に置かれていたと評価し、労働時間にあたると判断しています。
判断の分かれ目は「完全に業務から解放されているか」です。呼び出しに備えて待機している時間は、実際に作業していなくても労働時間と評価されることがあります。一方、完全に自由に過ごせる仮眠であれば休憩として扱われます。
自分の職場の仮眠がどちらに近いかは、呼び出しの頻度や、仮眠中に離れられるかどうかで見当がつきます。休憩そのものの決まりは休憩時間のルールで扱っています。
労働時間にあたるかの基本的な考え方
最高裁は、労働時間とは労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、これにあたるかどうかは労働契約や就業規則の定めによって決まるものではなく、客観的に定まるとしています。
そのうえで、業務の準備行為などを事業所内で行うことを義務づけられ、またはそれを余儀なくされたときは、特段の事情がない限り指揮命令下に置かれたものと評価でき、それに要した時間は社会通念上必要と認められる限り労働時間にあたる、とも示されています。
夜勤の申し送りや、勤務開始前の準備が実質的に義務づけられている場合は、この考え方が参考になります。
シフトの記録は日ごとに残しておく
夜勤は勤務のパターンが複数あり、月ごとに組み合わせも変わります。あとからシフト表を見返して計算するより、勤務のたびに出退勤と休憩を記録しておくほうが、月末の集計での食い違いが減ります。
会社には労働時間の状況を把握する義務があり、厚生労働省のガイドラインは客観的な記録を基礎とすることを原則としています。自分の記録と会社の集計に差がある場合、どこで生じているかを突き合わせる手がかりになります。
まとめ
- 日をまたぐ勤務は1つの勤務として通算し、出勤した日に計上する
- 日付で切って別々の日に分けると、時間外労働を見落とすことになる
- 深夜帯は22時〜翌5時。22時〜翌7時の勤務でも深夜は7時間
- 16時間勤務の2交替制では、1回で7時間の時間外労働が発生することがある
- 仮眠時間は完全に業務から解放されているかで扱いが分かれる
夜勤のシフトは時刻を入れれば実働・深夜・時間外がまとめて出ます。複数のパターンを並べて比べると、自分の月の負担も見通しやすくなります。
この記事の位置づけ
労働基準法の一般的な内容を整理したもので、個別の事案について結論を示すものではありません。就業規則や労使協定の内容によって取り扱いは変わります。実際の判断が必要な場合は、勤務先の担当部署か、所轄の労働基準監督署・総合労働相談コーナーにご相談ください。
参考・出典
- e-Gov法令検索:労働基準法
- 裁判所:三菱重工業長崎造船所事件(最高裁 平成12年3月9日判決)
- 厚生労働省:法定労働時間と割増賃金について
- 厚生労働省:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
※2026年9月時点の法令にもとづいています。記事内の金額はすべて当サイトの独自試算で、割増率は労働基準法が定める最低基準を用いています。就業規則でこれより高い率を定めている場合は結果が変わります。