不安解消

ペアローンは金利上昇に弱い?世帯年収で借りる前に確認したいこと

更新日:2026-09-13

共働き世帯が住宅ローンを組むとき、2人分の収入を使えば借入可能額は大きく増えます。一方で、金利が上昇局面に入った2026年は、世帯収入を前提に借りた家計がどう影響を受けるかを確認しておく価値があります。

この記事では、世帯年収800万円(夫500万円・妻300万円)のケースで、単独で借りる場合との違いと、収入減や金利上昇が起きたときに数字がどう動くかを計算します。

ペアローン・収入合算・連帯債務の違い

方式契約の形住宅ローン控除団信
ペアローン2人がそれぞれ別々に契約(2本)2人とも受けられる2人とも加入
連帯債務契約は1本、2人が同じ立場で返済義務2人とも受けられる(金融機関による)主債務者のみが多い
収入合算(連帯保証)契約は1本、合算者は保証人主債務者のみ主債務者のみ

ペアローンは契約が2本になるため、事務手数料や登記費用も2本分かかります。一方で控除も団信も2人分になるという違いがあります。

借入可能額はどれだけ増えるか

金利1.2%・35年・返済負担率30%で計算した借入可能額です。

世帯年収800万円(夫500万円・妻300万円)の場合

借り方借入可能額月返済額
夫が単独で借りる(年収500万円)約4,285万円125,000円
ペアローン(世帯年収800万円)約6,856万円200,000円

差は約2,571万円。物件の選択肢は大きく広がります。

この差が、ペアローンが選ばれる最大の理由です。同時に、返済も2人分の収入があることを前提に組み立てられているということでもあります。

片方の収入が止まったときの数字

ペアローンで満額の6,856万円を借りた場合、月返済額は20万円です。ここで妻の収入がなくなったとすると、夫の年収500万円に対する返済負担率は次のようになります。

世帯収入が変わった場合の返済負担率(月返済20万円)

状況年収返済負担率
2人で返済800万円30.0%
夫の収入のみ500万円48.0%

返済負担率48%は、金融機関の審査基準(30〜35%以内)を大きく超える水準です。収入が一時的に減る場面は、育児休業・介護・転職・体調不良など、共働き世帯では起こりうる範囲にあります。

金利上昇が重なった場合

さらに、変動金利が1.2%から2.2%に上がった場合を重ねます。

借入6,856万円・35年・金利上昇時

金利月返済額世帯800万円での負担率夫500万円のみでの負担率
1.2%200,000円30.0%48.0%
2.2%234,224円35.1%56.2%

金利が1%上がるだけで月34,224円の増加です。借入額が大きいほど、上昇の影響も比例して大きくなります。

ここがペアローン特有の構造です。借入額が大きい=金利上昇の影響も大きく、その返済を支えているのが2人分の収入という形になっているため、収入減と金利上昇が重なったときの振れ幅が単独契約より大きくなります。

世帯年収で借りた場合と、片方の収入だけで見た場合の借入可能額を並べて確認できます。年収欄に世帯合計と単独の両方を入れて比べてみてください。

借入可能額シミュレーターで計算する →

ペアローンで得られるもの

リスクの側面だけでなく、ペアローンには単独契約にない利点もあります。

  • 住宅ローン控除が2人分:それぞれの残高に対して控除を受けられるため、控除の総額が大きくなりやすい
  • 団信が2本:どちらかに万一のことがあれば、その人のローンは完済される
  • それぞれの条件を選べる:一方を変動、もう一方を固定にするなど、金利タイプを分けられる

3つ目は金利上昇局面で意味を持ちます。2本を別々の金利タイプにすれば、上昇の影響を受ける範囲を半分に抑えられます。ミックスローンに近い効果を、ペアローンの構造で実現する形になります。

確認しておきたいこと

  1. 片方の収入だけで返せる額を計算する:単独の年収で返済負担率25〜30%に収まる借入額を出し、実際の借入額と比べる
  2. 育休・時短勤務の期間を織り込む:復帰後の時短期間も含めて、収入が下がる年数を具体的に見積もる
  3. 団信の範囲を確認する:どちらかに万一のことがあっても、もう一方のローンは残ります。連帯債務やペアローンでは全額が消えるわけではありません
  4. 金利タイプを分けることを検討する:2本とも変動にすると、上昇時の影響を全額が受けます
  5. 売却・離婚時の手続きを把握しておく:ペアローンは2本の契約と2つの持分があるため、解消には双方の合意と手続きが必要になります

よくある質問

Q. ペアローンと単独ローンでは、どちらが総返済額は少なくなりますか?

同じ借入額・同じ金利なら総返済額は変わりません。差が出るのは諸費用(ペアローンは2本分)と、住宅ローン控除の額(ペアローンは2人分受けられる)です。借入額そのものが変わるため、単純比較はできません。

Q. 妻が退職したらローンはどうなりますか?

契約はそのまま残り、返済義務も残ります。返済が難しくなった場合は、金融機関に相談して返済期間の延長や一本化を検討することになりますが、審査があるため必ず応じてもらえるとは限りません。

Q. 2人とも変動金利にしている場合、今からできることはありますか?

一方だけを固定に借り換える、繰り上げ返済で残債を減らす、といった選択肢があります。どれも費用や条件があるため、金利が上がったときの返済額を試算したうえで比較することになります。

まとめ

  • 世帯年収800万円なら借入可能額は約6,856万円。夫単独(500万円)の約4,285万円より2,571万円多い
  • 満額で借りると、片方の収入が止まった場合の返済負担率は48.0%
  • 金利が2.2%に上がると月返済は234,224円、単独収入での負担率は56.2%
  • 一方で、住宅ローン控除2人分・団信2本・金利タイプを分けられるという利点がある
  • 2本とも変動にすると、上昇の影響を借入額の全額が受ける

ペアローンは借入可能額を増やす手段であると同時に、2人分の収入が続くことを前提にした設計になります。単独の収入で見たときの数字を一度出しておくと、どこまでの借入額なら想定内かを判断しやすくなります。

世帯年収での借入可能額と、片方の収入だけで見た場合の借入可能額。2つの数字を並べると、どこまでが想定内かが見えてきます。

借入可能額シミュレーターを使ってみる →

登録不要・完全無料/入力データは外部に送信されません

この記事を書いた人

都内在住。Web制作・デザインに20年以上携わり、現在はインハウスでWeb制作や改善業務に関わっています。自身でも住宅ローンを組み、返済や見直しを経験してきました。実体験と調査をもとに、住宅ローンをできるだけわかりやすく整理して発信しています。

参考・出典

※記事内の試算は元利均等返済の計算式に基づく当サイトの独自試算です(2026年9月時点)。実際の適用条件は金融機関ごとに異なります。