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変動金利の5年ルール・125%ルールとは?返済額が変わらない裏で起きていること

更新日:2026-09-13

2026年に入って変動金利は上昇し、9月時点で大手銀行の最優遇金利は1.0〜1.5%台になりました。それでも「毎月の引き落とし額は変わっていない」という方が多いはずです。それが5年ルールの効果です。

ただし、返済額が変わらないことと、負担が増えていないことはまったく別の話です。この記事では、返済額が据え置かれている裏で何が起きているのかを、具体的な数字で確認します。

5年ルール・125%ルールとは

変動金利型の住宅ローンには、返済額の急変を避けるための2つの緩和措置があります。

ルール内容
5年ルール金利が変わっても、毎月の返済額は5年間変わらない
125%ルール5年ごとの返済額の見直しでも、直前の返済額の1.25倍を超えない

金利自体は年2回(多くの銀行で4月・10月)見直されています。変わっているのは金利と返済額の「中身」で、引き落とし額だけが据え置かれているという理解が正確です。

すべての銀行にあるわけではありません

5年ルール・125%ルールは法律で決まったものではなく、金融機関ごとの約款によるものです。ネット銀行を中心に、これらのルールを設けず金利改定のつど返済額を見直す銀行もあります(PayPay銀行、ソニー銀行の一部商品など)。自分のローンにルールがあるかどうかは、借入時の契約書か金融機関の商品概要説明書で確認できます。

返済額が変わらない裏で起きていること

2024年に3,000万円を変動0.5%・35年で借りた場合を考えます。毎月の返済額は77,876円です。2年後、残高は約2,842万円になっています。

ここで金利が1.2%に上がったとき、返済額77,876円の中身がどう変わるかを見てください。

月々77,876円の内訳はこう変わる(残高2,842万円)

金利利息部分元金部分
0.5%11,843円66,033円
1.2%28,423円49,452円

同じ77,876円を払っていても、元金に充てられる分は月16,580円減ります。年間では約20万円です。

5年ルールが一定に保っているのは毎月の引き落とし額であって、利息の増加そのものではありません。増えた利息は、元金の減り方が遅くなるという形で反映されています。

自分のローンで元金と利息の内訳がどうなっているかは、返済スケジュール表で確認できます。金利を変えて再計算すると、元金の減り方の違いが一目でわかります。

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5年後の見直しでも「1.25倍まで」

では5年後の見直しで一気に上がるのかというと、そこにも125%ルールがかかります。先ほどの例で、3年目から毎年0.5%ずつ上昇し3.5%で頭打ちになるシナリオを見てみましょう。

5年ごとの返済額改定(借入3,000万円・35年・0.5%スタート)

時点本来必要な額125%の上限実際の返済額
5年後106,112円97,345円97,345円(上限が効いた)
10年後125,915円121,681円121,681円(上限が効いた)
15年後127,523円152,101円127,523円

5年後・10年後の2回とも、本来必要な額まで上がりきらずに抑えられています。返済額の急増は避けられる一方で、抑えられた分の元金は残高として残ります

「先送り」の代償は残高に出る

同じ金利シナリオで、5年ルールがある場合とない場合の10年後を比べます。

10年後のローン残高の差

10年後の残高その後の月返済額
5年ルールあり2,515万円127,523円
5年ルールなし(つど見直し)2,354万円117,822円

5年ルールがあると、10年後の残高は161万円多く残ります。そして11年目以降の返済額は月約1万円高くなります。

返済額を抑えた5年・10年のあいだに減らせなかった元金が、その後の期間に回っている形です。5年ルールの働きは、負担の軽減というより負担の繰り延べにあたります。

金利が3.3%を超えると「利息すら払えない」

金利上昇が続いた場合に関わってくるのが未払利息です。5年ルールで返済額が固定されている間に金利が上がりすぎると、その月の利息が返済額を上回る状態になります。

先ほどの例(残高2,842万円・返済額77,876円)では、金利が3.29%を超えた時点でこれが起こります。返済額を全額払っても利息に足りず、元金がまったく減らないどころか、足りない分が「未払利息」として積み上がっていきます。

金利が4%に急騰した場合

3年目に金利が4.0%へ跳ね上がったとすると、その月の利息は約94,700円。返済額77,876円との差約16,800円が毎月未払利息として積み上がり、次の見直しまでの2年間で約40万円に達します。この間、元金は1円も減りません。

未払利息の扱い(利息が付くかどうか、いつ請求されるか)は金融機関によって異なります。多くの場合、最終回にまとめて請求されます。

2026年9月時点の変動金利は1.0〜1.5%台なので、すぐに未払利息が発生する水準ではありません。ただし、借入時の金利が低いほど、返済額と利息の差が小さく、この境目までの幅も小さくなります

完済時に残債が残るケース

5年ルールと125%ルールで返済を抑え続けた結果、35年経っても元金を返しきれないことがあります。この場合、最終回に残った元金と未払利息が一括で請求されます。

完済時にまとまった支払いが発生しうる点は、変動金利型の契約で確認しておきたい条件のひとつです。とくに返済期間の終盤が退職後にかかる場合は、その時点で資金を用意できるかどうかもあわせて見ておく必要があります。

5年ルールがない銀行との違い

ルールがない銀行は金利改定のつど返済額が見直されるため、上昇時にすぐ月々の負担が増えます。負担の出方が違うだけで、どちらが有利とは一概には言えません

5年ルールあり5年ルールなし
金利上昇時の月返済額5年間は変わらないすぐに増える
元金の減り方遅くなる変わらないペースを維持
未払利息・最終回の一括請求発生しうる発生しない
総返済額多くなりやすい少なく収まりやすい

ルールなしは金利上昇が早く反映される代わりに、後の期間に持ち越さない。ルールありは返済額が据え置かれる代わりに、その分の利息が後の期間に乗る。どちらが合うかは、急な増額に家計が対応できるか、返済額が一定であることをどれだけ重視するかによって変わります。

確認しておきたいこと

  1. 自分のローンにルールがあるか確認する:契約書か、金融機関のサイトの商品概要説明書で確認できます
  2. 返済予定表で元金の減り方を見る:金利が上がったあとの予定表を取り寄せると、元金充当額が減っていることがはっきりわかります
  3. 繰上げ返済の効果を試算する:返済額が据え置かれている期間は元金の減りが鈍るため、元金を直接減らす繰上げ返済の効果を確認しておくと選択肢が増えます
  4. 金利2〜3%での返済額を試算しておく:5年後の見直しで提示されうる金額を先に把握しておくと、判断の時間を取れます

返済額が据え置かれている期間は、元金の減りが鈍りやすいタイミングです。100万円繰り上げた場合の利息削減額と期間短縮を、その場で計算できます。

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よくある質問

Q. 返済額が変わっていないので、金利は上がっていないということですか?

いいえ。金利は年2回見直されており、上がっていても5年間は返済額に反映されません。実際に上がっているかどうかは、返済予定表か金融機関からの通知で確認できます。

Q. 125%ルールがあれば、返済額が急増することはない?

1回の見直しで1.25倍を超えることはありません。ただし5年ごとに1.25倍ずつ上がる可能性はあります。2回続けば約1.56倍、3回で約1.95倍です。1回あたりの上げ幅に上限があるという仕組みで、上昇の総量を抑えるものではありません

Q. 未払利息が出ているかどうかは、どうすればわかりますか?

返済予定表や残高証明で、元金が減っていない、あるいは「未払利息」の記載があるかを確認します。判断が難しい場合は借入先に直接確認してください。

まとめ

  • 5年ルールは返済額を5年間据え置く仕組みで、負担の軽減ではなく繰り延べ
  • 0.5%→1.2%の上昇で、同じ返済額でも元金充当は月16,580円減る
  • 5年ルールがあると10年後の残高が161万円多く残り、その後の返済額は月約1万円高くなる
  • 金利が上がりすぎると未払利息が発生し、完済時に一括請求されることがある
  • ルールの有無は金融機関次第。まず自分の契約を確認すること

返済額が据え置かれている期間は、次の見直しまでに状況を確認し、対応を検討できる時間でもあります。5年後にどのくらいの返済額になりうるかを試算しておくと、判断の材料が揃います。

金利が上がったときに月々いくらになるのか、まずは数字で確認してみてください。借入額・金利・年数を入れるだけで、返済額と総利息、返済スケジュールがその場でわかります。

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この記事を書いた人

都内在住。Web制作・デザインに20年以上携わり、現在はインハウスでWeb制作や改善業務に関わっています。自身でも住宅ローンを組み、返済や見直しを経験してきました。実体験と調査をもとに、住宅ローンをできるだけわかりやすく整理して発信しています。

参考・出典

※記事内の試算は元利均等返済の計算式に基づく当サイトの独自試算です(2026年9月時点)。実際の適用ルール・未払利息の取り扱いは金融機関ごとに異なります。