計算例

月60時間を超える残業は割増50%:中小企業も2023年4月から対象に

更新日:2026-09-15

時間外労働の割増率は25%以上が基本ですが、1か月の時間外労働が60時間を超えると、超えた部分については50%以上になります。

この制度は大企業では2010年4月から適用されていましたが、中小企業には猶予措置がありました。その猶予が終わり、2023年4月1日からは中小企業も対象になっています。

割増率の切り替わり方

1か月の時間外労働割増率
60時間までの部分25%以上(1.25倍)
60時間を超える部分50%以上(1.50倍)

60時間を超えた瞬間に全体が50%になるのではなく、超えた部分だけが50%になります。月70時間の残業なら、60時間分が1.25倍、10時間分が1.50倍です。

金額でどれくらい違うか

時給2,000円、平日22日を9時〜22時・休憩60分(実働12時間)で働いた場合を計算します。1日あたり4時間の時間外労働が22日分で、合計88時間です。

時間外88時間の内訳と金額

区分時間計算金額
法定内176時間2,000 × 176352,000円
時間外(60時間まで)60時間2,000 × 1.25 × 60150,000円
時間外(60時間超)28時間2,000 × 1.50 × 2884,000円
合計586,000円

もし88時間すべてを1.25倍で計算すると572,000円になります。差は14,000円です。60時間を超えた28時間について、1時間あたり500円ずつ多く支払われる計算になります。

60時間の集計に含まれるもの・含まれないもの

労働の種類60時間の集計に
平日の時間外労働(1日8時間超)含める
週40時間を超えた分含める
所定休日の労働で週40時間を超えた分含める
法定休日の労働含めない

同じ休日出勤でも扱いが分かれます

法定休日の労働は時間外労働とは別枠のため、60時間の集計には入りません。一方、所定休日(週休2日制のもう1日など)に出勤して週40時間を超えた分は時間外労働なので、集計に含まれます。
どちらが法定休日かは就業規則で定められています(法定休日と所定休日の違い)。

深夜と重なると75%になる

深夜割増(25%)は他の割増に上乗せされます。60時間を超える時間外労働が深夜帯に及んだ場合、合計の割増率は75%以上になります。

組み合わせ計算合計
時間外(60時間まで)+深夜25% + 25%1.50倍以上
時間外(60時間超)+深夜50% + 25%1.75倍以上

時給2,000円なら、この時間帯の1時間は3,500円になります。月の後半に深夜まで残業が続く場合、単価はかなり変わってきます。

代替休暇という選択肢

労使協定を結べば、60時間を超える部分の引き上げ分(25%分)の支払いに代えて、有給の休暇を与えることができます。これを代替休暇と呼びます。

内容
対象月60時間を超える時間外労働の割増率引き上げ分(25%分)
必要な手続き労使協定の締結
労働者の意向取得するかどうかは労働者が決める
支払われる部分代替休暇を取得しても、基本の25%分は支払われる

代替休暇の制度があるかどうか、あるとして取得の手続きがどうなっているかは、労使協定や就業規則で確認できます。

自分が60時間を超えているか確かめる

60時間という水準は、1か月を20日勤務とすると1日あたり3時間の残業に相当します。毎日3時間残業していれば、月の終わりごろに到達する計算です。

給与明細では「時間外手当」がひとまとめで記載され、60時間までの部分と超えた部分が分かれていないこともあります。その場合、自分の記録から時間外労働の合計を出して、60時間を超えているかどうかを確かめられます。超えているのに1.25倍のままで計算されていれば、差額が生じている可能性があります。

まとめ

  • 1か月の時間外労働が60時間を超えた部分だけ、割増率が50%以上になる
  • 中小企業も2023年4月1日から対象
  • 60時間の集計に法定休日の労働は含まないが、所定休日で週40時間を超えた分は含む
  • 深夜と重なると75%以上
  • 労使協定があれば、引き上げ分の代わりに代替休暇を取得できる場合がある

月の時間外労働が60時間前後になる月は、割増率の切り替わりを含めて計算しておくと、給与明細との突き合わせがしやすくなります。

1か月分の出退勤を入れると、時間外労働のうち60時間を超えた部分を自動で切り分けて表示します。割増率の違いを反映した金額も出せます。

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この記事を書いた人

都内在住。Web制作・デザインに20年以上携わり、現在はインハウスでWeb制作や改善業務に関わっています。会社員として勤怠管理や残業の集計を自分で行ってきた経験をもとに、労働時間まわりの仕組みをできるだけわかりやすく整理して発信しています。

この記事の位置づけ

労働基準法の一般的な内容を整理したもので、個別の事案について結論を示すものではありません。就業規則や労使協定の内容によって取り扱いは変わります。実際の判断が必要な場合は、勤務先の担当部署か、所轄の労働基準監督署・総合労働相談コーナーにご相談ください。

参考・出典

※2026年9月時点の法令にもとづいています。記事内の金額はすべて当サイトの独自試算で、割増率は労働基準法が定める最低基準を用いています。就業規則でこれより高い率を定めている場合は結果が変わります。