制度・ルール

36協定の残業の上限:月45時間・年360時間と、特別条項の4つの制限

更新日:2026-09-15

会社が法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働かせるには、労使で協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。労働基準法36条にもとづくことから36協定(さぶろく協定)と呼ばれます。

この協定があれば無制限に残業させられるわけではありません。2019年4月(中小企業は2020年4月)から、法律による上限が設けられています。

原則の上限は月45時間・年360時間

期間上限
1か月45時間
1年360時間

月45時間は、1か月を20日勤務とすると1日あたり2時間15分の残業に相当します。毎日2時間残業すると月40時間なので、原則の上限はその少し上という水準です。ここでいう時間外労働の数え方は残業時間の計算方法で整理しています。

特別条項を結んでも超えられない4つの制限

臨時的な特別の事情がある場合に限り、特別条項付きの36協定を結ぶことで月45時間を超えることができます。ただしその場合も、次の4つはすべて満たす必要があります。

制限内容休日労働を含めるか
年720時間以内1年間の時間外労働の合計含めない
複数月平均80時間以内2か月・3か月・4か月・5か月・6か月のいずれの平均でも含める
単月100時間未満1か月の合計含める
年6回まで月45時間を超えられる回数

休日労働を含める項目と含めない項目がある

4つのうち、複数月平均80時間と単月100時間未満だけが休日労働を含めて判定されます。年720時間と月45時間のカウントには含めません。
法定休日に多く出勤している月は、時間外労働の数字だけを見ていると実際の水準を低く見積もることになります。

「複数月平均80時間」の数え方

この制限は、2か月から6か月までのどの区切りで平均を取っても80時間以内でなければならない、というものです。1か月だけ多くても、前後の月が少なければ平均で収まることがあります。逆に、80時間前後が続くと平均でも超えてしまいます。

時間外+休日労働の推移(例)

時間2か月平均3か月平均
4月60時間
5月95時間77.5時間
6月85時間90.0時間80.0時間

5月と6月の2か月平均が90時間となり、80時間を超えています。単月ではいずれも100時間未満ですが、この2か月平均の時点で上限を超えることになります。

上限規制の対象にならない場合

次の働き方は、上限規制の考え方が異なります。

  • 管理監督者 … 労働時間に関する規定の適用対象外とされています(深夜割増は適用されます)
  • 裁量労働制 … みなし時間で計算されるため、実労働時間とは別の考え方になります
  • 高度プロフェッショナル制度 … 対象業務・年収要件などを満たした場合の制度です

管理監督者にあたるかどうかは役職名ではなく、職務内容・権限・待遇などの実態で判断されるとされています。役職がついたことだけを理由に対象外となるわけではありません。

猶予されていた業種も2024年から対象に

建設事業、自動車運転の業務、医師については、上限規制の適用が猶予されていましたが、2024年4月から適用されています。業種ごとに一部異なる扱いが残っている部分もあります。

上限を超えていることに気づいたとき

36協定の上限を超えた時間外労働をさせた場合、使用者には罰則が定められています。ただし、上限を超えているかどうかを判断するには、まず自分の労働時間が実際に何時間なのかを把握する必要があります。

会社の集計と自分の認識が違う場合、日ごとの出退勤を自分でも記録しておくと、月の合計を突き合わせられます。そのうえで疑問が残る場合は、勤務先の担当部署のほか、各都道府県の労働局や労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーで相談できます。予約は不要で、費用もかかりません。

まとめ

  • 原則の上限は月45時間・年360時間
  • 特別条項を結んでも、年720時間/複数月平均80時間/単月100時間未満/年6回までをすべて満たす必要がある
  • このうち複数月平均80時間と単月100時間未満だけが休日労働を含めて判定される
  • 複数月平均は2〜6か月のどの区切りでも判定するため、単月で収まっていても超えることがある
  • 管理監督者・裁量労働制などは考え方が異なる

自分が今月どのあたりにいるのかは、日ごとの記録を積み上げれば月の途中でも把握できます。月末にまとめて計算するより、進み具合が見えているほうが対応の選択肢も残ります。

タイムカード集計では、月の時間外労働が45時間に対してどこまで進んでいるかをゲージで表示します。80時間・100時間に達したときの注意も出ます。

タイムカード集計で確認する →

登録不要・完全無料/入力内容はサーバーに送信されません

この記事を書いた人

都内在住。Web制作・デザインに20年以上携わり、現在はインハウスでWeb制作や改善業務に関わっています。会社員として勤怠管理や残業の集計を自分で行ってきた経験をもとに、労働時間まわりの仕組みをできるだけわかりやすく整理して発信しています。

この記事の位置づけ

労働基準法の一般的な内容を整理したもので、個別の事案について結論を示すものではありません。就業規則や労使協定の内容によって取り扱いは変わります。実際の判断が必要な場合は、勤務先の担当部署か、所轄の労働基準監督署・総合労働相談コーナーにご相談ください。

参考・出典

※2026年9月時点の法令にもとづいています。記事内の金額はすべて当サイトの独自試算で、割増率は労働基準法が定める最低基準を用いています。就業規則でこれより高い率を定めている場合は結果が変わります。