計算例

有給休暇を取った日の賃金:3つの決め方と、どれが使われるか

更新日:2026-09-17

有給休暇を取っても賃金が支払われるのがこの制度の前提です。では、いくら支払われるのか。実は3通りの決め方があり、どれを使うかは会社が定めます。

3つの決め方

方式計算のしかた特徴
通常の賃金その日に働いていれば支払われたはずの賃金もっとも多く使われる
平均賃金直近3か月の賃金総額 ÷ その期間の暦日数変動給が多い場合に使われる
標準報酬日額健康保険の標準報酬月額 ÷ 30労使協定が必要

どれを使うかは就業規則などに定めることとされています。その都度選ぶことはできず、あらかじめ決めておく必要があります。

通常の賃金

もっとも一般的な方式です。その日に出勤していたら支払われたはずの賃金を支払います。

  • 月給制 … 欠勤控除をしないだけなので、結果として月給が満額支払われる
  • 日給制 … その日の日給
  • 時給制 … 所定労働時間 × 時給

月給制の場合、有給を取っても給与明細の金額が変わらないのはこのためです。計算が簡単で、労働者にとっても分かりやすい方式です。

平均賃金

直近3か月の賃金総額を、その期間の暦日数で割ります。暦日数で割るため、休日も分母に入ります。

3か月の賃金総額が90万円、暦日数が92日の場合

900,000円 ÷ 92日 = 9,782.6円

日給制・時給制・出来高払いの場合は、これとは別に最低保障額(賃金総額 ÷ 実労働日数 × 0.6)が計算され、高いほうが平均賃金になります。

時給制で働いている場合、通常の賃金と平均賃金では額が変わることがあります。暦日数で割る平均賃金は、休日が多い月を含むと低めに出やすくなります。就業規則でどちらと定めているかは確認できます。

標準報酬日額

健康保険の標準報酬月額を30で割った額です。この方式を使うには労使協定を結ぶことが必要で、就業規則に定めるだけでは足りません。

標準報酬月額は等級で区分されているため、実際の賃金とは多少ずれます。採用している会社は多くありません。

時間単位年休の場合

時間単位で取得した場合は、1日分の賃金をその日の所定労働時間数で割った額に、取得した時間数を掛けます。

1日の賃金が16,000円、所定労働時間8時間、3時間取得した場合

16,000円 ÷ 8時間 × 3時間 = 6,000円

賞与や皆勤手当への影響

年次有給休暇を取得したことを理由として、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないとされています。

有給を取った日を欠勤扱いにして精皆勤手当を減らす、賞与の査定で出勤率を下げる、といった扱いは、この規定に照らして問題があると解されています。

まとめ

  • 支払われる額の決め方は、通常の賃金・平均賃金・標準報酬日額の3通り
  • どれを使うかは就業規則などにあらかじめ定める
  • 標準報酬日額を使うには労使協定が必要
  • 月給制では通常の賃金が使われることが多く、額は変わらない
  • 有給の取得を理由に不利益な取扱いをすることは想定されていない

入社日と週の勤務日数を入れると、次の付与日と日数、繰越と時効、年5日の取得義務までを基準日ごとの一覧で確認できます。

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この記事を書いた人

都内在住。Web制作・デザインに20年以上携わり、現在はインハウスでWeb制作や改善業務に関わっています。会社員として自分の有給休暇の残日数を数え違えた経験から、労働基準法の決まりを条文にあたって整理したものを発信しています。

この記事の位置づけ

労働基準法の年次有給休暇に関するの一般的な内容を整理したもので、個別の事案について結論を示すものではありません。就業規則や労使協定、加入している健康保険の定めによって取り扱いは変わります。実際の判断が必要な場合は、勤務先の担当部署か、所轄の労働基準監督署・総合労働相談コーナーにご相談ください。

参考・出典

※2026年9月時点の法令にもとづいています。会社が法定を上回る日数や早い付与を定めている場合は結果が変わります。実際の日数は就業規則や労働契約で確認できます。