制度の決まり

有給休暇の繰越と2年の時効:使わなかった分はいつ消えるのか

更新日:2026-09-17

「有給が余っているけれど、いつまで使えるのか」はよくある疑問です。結論としては2年で時効にかかると解されています。この記事では繰越の仕組みを計算例で確認します。

時効は2年

労働基準法は、この法律の規定による賃金以外の請求権は2年間行わない場合に時効によって消滅すると定めています。年次有給休暇の請求権はこれに当たると解されています。

そのため、ある基準日に付与された日数のうち使わなかった分は翌年度に繰り越せますが、その次の基準日で消えます。繰り越せるのは前年度分までです。

最大で40日になる

6年6か月以降は毎年20日が付与されます。前年度分の20日を1日も使わずに繰り越せば、新しい20日と合わせて40日を保有することになります。これが法定どおりの上限です。

毎年20日付与で、5日ずつ使った場合

1年目の基準日 … 付与20日/取得5日/年度末の残15日
2年目の基準日 … 繰越15日+付与20日=35日/取得5日/残30日
3年目の基準日 … 1年目の残り10日が時効で消滅。繰越20日+付与20日=40日

3年目の時点で、1年目に付与された分のうち使われなかった10日が消えます。毎年5日しか使わないと、2年目以降は毎年一定の日数が消えていくことになります。

古い分から使うのが一般的

繰越分と新しく付与された分の両方を持っているとき、どちらから充てるかは法律では決まっていません。労使の取り決めによります。

実務では古い分から充てる扱いが一般的です。古い分のほうが先に時効にかかるため、労働者にとって消滅する日数が少なくなるためです。

新しい分から充てる取り決めになっていると、繰越分が消えやすくなります。就業規則にどちらで運用すると書かれているかは確認できます。書かれていない場合は勤務先に聞いておくと、残日数の見込みが立てやすくなります。

会社が独自に延長している場合

労働基準法は最低基準を定めたものなので、会社が労働者に有利な取り決めをすることはできます。時効を3年にする、上限を40日より多くする、時効で消える分を積み立てて特別休暇に充てる(失効年休の積立制度)といった仕組みを設けている会社もあります。

これらは法定を上回る扱いなので、あるかどうかは就業規則で確認できます。

買い上げは原則としてできない

年次有給休暇を買い上げて取得させないことは、休暇を与えたことにならないため認められないと解されています。買い上げを前提にすると、休むという制度の目的が果たされないためです。

ただし、次のような場合は例外的に許容されると解されています。

  • 法定の日数を上回る部分(会社が独自に上乗せした分)
  • 時効で消滅した分
  • 退職時に残っている分

いずれも会社に買い上げる義務があるわけではありません。退職時の扱いは退職時の有給休暇で整理しています。

残日数を自分で数えておく

年5日の取得義務が始まってから、会社は年次有給休暇管理簿を作成することとされています。給与明細に残日数が印字されている会社もあります。

ただ、繰越の充て方によって「いつ何日消えるか」は変わります。基準日と付与日数がわかれば自分でも追えるので、会社の数字と突き合わせておくとずれに気づきやすくなります。

まとめ

  • 年次有給休暇の請求権は2年で時効にかかると解されている
  • 繰り越せるのは前年度分まで。最大で40日になる
  • 古い分から充てるか新しい分からかは労使の取り決めによる
  • 会社が法定より長い時効や積立制度を設けていることもある
  • 法定の日数の買い上げは原則として認められない

入社日と週の勤務日数を入れると、次の付与日と日数、繰越と時効、年5日の取得義務までを基準日ごとの一覧で確認できます。

付与日数を計算する →

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この記事を書いた人

都内在住。Web制作・デザインに20年以上携わり、現在はインハウスでWeb制作や改善業務に関わっています。会社員として自分の有給休暇の残日数を数え違えた経験から、労働基準法の決まりを条文にあたって整理したものを発信しています。

この記事の位置づけ

労働基準法の年次有給休暇に関するの一般的な内容を整理したもので、個別の事案について結論を示すものではありません。就業規則や労使協定、加入している健康保険の定めによって取り扱いは変わります。実際の判断が必要な場合は、勤務先の担当部署か、所轄の労働基準監督署・総合労働相談コーナーにご相談ください。

参考・出典

※2026年9月時点の法令にもとづいています。会社が法定を上回る日数や早い付与を定めている場合は結果が変わります。実際の日数は就業規則や労働契約で確認できます。