求人情報の「的確な表示」と画像:写真はどこまで実態に合わせるか
更新日:2026-09-16
求人広告に載せる写真について、法令上どこまで気にする必要があるのか。結論から書くと、画像を名指しした規定は今回確認できた範囲では見つかりませんでした。ただし、表示全般にかかる義務があり、その対象に画像も含まれると整理するのが自然な形です。
確認できたことと、確認できなかったことを分けて記載します。
確認できたこと:的確な表示の義務
2022年10月1日に施行された改正職業安定法で、求人等に関する情報の「的確な表示」が義務づけられました。厚生労働省のリーフレットで示されている内容は次のとおりです。
求められている3点
- 虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならない
- 正確かつ最新の内容に保たなければならない
- いつ時点の情報かを明らかにする
また職業安定法の指針には、宣伝広告について「不当に求人者または求職者を誘引し、合理的な選択を阻害するおそれがある不当な表示をしてはならない」という定めがあることも確認できました。
確認できなかったこと:画像を名指しした規定
上記の条文や指針が、「画像」「写真」を名指しして何かを定めているという記述は見つかりませんでした。この環境からは条文の原文にあたることができていないため、「存在しない」と断定することもできません。
そのうえで、「表示」という言葉が文字だけを指すと読む理由も特に見当たりません。実態と異なる職場写真は「誤解を生じさせる表示」にあたりうる、という整理は成り立ちますが、そう明言した公的資料は確認できていません。
実務としてどう扱うか
法令上の線引きが明確でない以上、「違法かどうか」よりも「応募者が見て実際と食い違わないか」を基準にするほうが、判断しやすくなります。食い違いが起きやすいのは次のような場面です。
撮影時期が古い
改装前の店舗、移転前のオフィス、設備を入れ替える前の作業場。数年前の写真をそのまま使っていると、応募者が見学に来たときに印象が変わります。撮影時期を添えるか、撮り直すことで避けられます。
別の事業所の写真を使っている
本社の写真を、実際の勤務地である支店の求人に使う場合です。どの拠点の写真かを明記すれば誤解は生じにくくなります。明記せずに使うと、勤務地の印象が実態と離れます。
人数や体制が実態と違う
繁忙期だけの応援を含めた人数で撮った写真を通年で使うと、実際の配置人数と食い違います。「何人で回している職場か」は応募の判断に関わる部分です。
素材写真を自社の職場のように見せている
フリー素材やストックフォトの写真を、説明なく職場写真の枠に入れると、応募者はその会社の実際の職場だと受け取ります。イメージ画像として使うのであれば、その旨が分かる形にしておくと食い違いが起きにくくなります。詳しくはフリー素材と自社撮影の使い分けで整理しています。
「正確かつ最新に保つ」を運用に落とす
最新に保つという要求は、掲載したあとも続きます。掲載し続ける求人ほど、時間の経過で実態とずれていきます。
- 写真に撮影年月を記録する。ファイル名や台帳に残しておくと、古さが判断できます
- 見直しの時期を決める。年1回など、掲載中の写真をまとめて確認する機会を作ります
- 変化があったときに思い出せるようにする。移転、改装、設備の入れ替え、体制の変更。これらのタイミングで写真の確認を手続きに含めます
- 退職者が写っていないかを確認する。退職手続きのチェック項目に入れておきます
書き方の例
写真に一言添えるだけで、受け取られ方が変わります。
- 「2026年4月撮影」
- 「本社オフィス(勤務地は〇〇支店です)」
- 「イメージ写真です」
- 「繁忙期の様子です。通常は3〜4名で対応しています」
いずれも、写真そのものを差し替えずに食い違いを減らせる方法です。
まとめ
- 改正職業安定法で求人情報の「的確な表示」が義務づけられている(虚偽・誤解を生じさせる表示の禁止、正確かつ最新の内容の維持)
- 画像を名指しした規定は確認できなかったが、表示全般にかかる義務として整理される
- 食い違いが起きやすいのは、撮影時期・拠点・人数・素材写真の4点
- 撮影年月の記録と、定期的な見直しの機会を決めておくと運用しやすい
- 写真に一言添えるだけでも、受け取られ方の食い違いは減らせる
この記事の位置づけ
公開されている解説記事や行政のリーフレットをもとにした一般的な整理で、判例や個別の事案について結論を示すものではありません。自社での取り扱いを決める際は、掲載先の媒体、社内の法務・人事の担当部署、必要に応じて弁護士や社会保険労務士にご相談ください。
参考・出典
※2026年9月時点で確認できた厚生労働省のリーフレットと解説記事をもとにした整理です。この環境から条文の原文にあたることができていないため、条や号の番号は記載していません。