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昇給しても手取りが増えにくいのはなぜ?増えた分の行き先を数字で確認

更新日:2026-09-14

昇給の通知を見たときの金額と、実際に増えた振込額が違う。これは増えた分にも税金と社会保険料がかかるためです。どこにいくら向かうのかを数字で確認します。

年収が50万円上がると手取りはいくら増えるか

単身・39歳以下・賞与20%の場合

年収の変化手取りの増加手元に残る割合
500万円 → 550万円約369,000円73.8%
800万円 → 850万円約312,000円62.3%

年収が高いほど、増えた分のうち手元に残る割合は小さくなります。

年収500万円台で50万円の昇給があっても、実際に増えるのは約37万円。月あたりにすると約3万円です。残りの13万円は税金と社会保険料に向かいます。

理由1:所得税は増えた分に高い税率がかかる

所得税は超過累進課税で、課税所得の水準ごとに税率が変わります。昇給で増えた部分には、その人のいちばん高い税率がかかります。

課税所得税率
195万円以下5%
330万円以下10%
695万円以下20%
900万円以下23%
1,800万円以下33%

課税所得が330万円の人が昇給すると、増えた分には20%(+住民税10%)がかかります。ここに復興特別所得税も加わります。

理由2:社会保険料も比例して増える

健康保険・厚生年金の本人負担は合わせて約14%(40歳以上は約14.8%)。これは累進ではなくほぼ定率で増えます。ただし厚生年金には標準報酬月額65万円という上限があるため、高年収では頭打ちになります。

また社会保険料は標準報酬月額の等級で決まるため、等級が1つ上がるタイミングで段階的に増えるという特徴があります。昇給額がわずかでも等級が変わると保険料が上がり、逆に等級が変わらなければ保険料は据え置かれます。

理由3:住民税は1年遅れてやってくる

住民税は前年の所得にかかります。昇給した年は前年の低い所得にもとづく住民税を払い、翌年6月から昇給後の所得にもとづく住民税に切り替わります。

昇給の翌年に手取りが減ったように感じる

昇給した年は「税金が追いついていない」状態です。翌年6月に住民税が上がることで、昇給の効果が目減りしたように感じられます。年収500万円から550万円への昇給なら、住民税は年約3.3万円増える計算です。

増えた分の行き先(年収500万円→550万円)

行き先金額の目安
手取りとして残る約36.9万円
社会保険料約7.2万円
所得税約2.5万円
住民税(翌年から)約3.3万円

手取りが減ることもあるのか

年収が増えて手取りが逆転することは、通常の給与所得者では起こりません。所得税も社会保険料も、増えた部分に対してかかる仕組みだからです。

一方で、次のような場合は手取りが減ることがあります。

  • 扶養から外れる場合:配偶者の社会保険の扶養を外れて自分で社会保険料を負担することになると、一時的に手取りが下がります
  • 手当の支給要件を外れる場合:児童手当の所得制限、住宅ローン控除の所得要件、自治体の助成金など、所得が基準を超えると受けられなくなる制度があります
  • 配偶者控除が外れる場合:本人の合計所得が1,000万円を超えると配偶者控除の対象外になります

よくある質問

Q. 残業を増やしても同じですか?

税金と社会保険料がかかる点は同じです。ただし残業代は非固定的賃金のため、それだけでは標準報酬月額の随時改定の対象になりません(4〜6月に集中した場合は定時決定に影響します)。

Q. 手元に残る割合を増やす方法はありますか?

iDeCoの掛金は全額が所得控除になるため、課税所得を下げる効果があります。企業型DCのマッチング拠出、生命保険料控除なども同じ方向です。ただしiDeCoは原則60歳まで引き出せないなど、それぞれ制約があります。

Q. 昇給と賞与では手取りへの影響は違いますか?

年間の合計額が同じなら、税金と社会保険料の総額もほぼ同じです。違いが出るのは、毎月の資金繰りと、標準報酬月額の上限に達する高年収帯です。

まとめ

  • 年収500万円→550万円の昇給で手元に残るのは約36.9万円(73.8%)
  • 年収800万円→850万円では62.3%と、高年収ほど残る割合は下がる
  • 理由は所得税の累進構造社会保険料の等級住民税の1年遅れ
  • 昇給の翌年6月に住民税が上がるため、効果が目減りしたように感じやすい

昇給後の年収を入れて、いまの年収での手取りと比べてみると、増える金額を具体的に確認できます。

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この記事を書いた人

都内在住。Web制作・デザインに20年以上携わり、現在はインハウスでWeb制作や改善業務に関わっています。家計の見直しや住宅ローンの借り換えを自分で経験するなかで、手取りベースで考えることの大切さを実感してきました。公開情報をもとに、お金の仕組みをできるだけわかりやすく整理して発信しています。

参考・出典

※記事内の試算は当サイトの独自試算です(2026年度の料率・令和8年分の税制にもとづく概算)。社会保険料の等級、健康保険組合ごとの料率差、自治体ごとの住民税の差、個人ごとの各種控除は反映していません。