社会保険料はどう決まる?標準報酬月額と4〜6月の関係
更新日:2026-09-14
「4〜6月に残業すると社会保険料が上がる」という話を聞いたことがあるかもしれません。これは標準報酬月額という仕組みによるものです。金額でどのくらいの差になるのかまで整理します。
社会保険料は「実際の給与」では計算されない
健康保険料と厚生年金保険料は、毎月の給与額にそのまま料率をかけるのではなく、標準報酬月額という区切りのよい金額(等級)にあてはめて計算されます。
| 実際の給与 | 標準報酬月額 |
|---|---|
| 29万円〜31万円 | 30万円 |
| 31万円〜33万円 | 32万円 |
| 33万円〜35万円 | 34万円 |
※等級の区切りは実際の等級表によります。上表はイメージです。
等級は健康保険で50等級、厚生年金で32等級に分かれています。厚生年金の上限は標準報酬月額65万円で、それを超える給与でも保険料は同じです。
1年分の保険料は4〜6月の給与で決まる(定時決定)
毎年、4月・5月・6月に支払われた給与の平均から標準報酬月額を決め直します。これを定時決定といい、決まった等級はその年の9月から翌年8月まで適用されます。
4〜6月に残業が集中した場合
通常の給与が30万円の人が、4〜6月だけ残業で平均34万円になったとします。標準報酬月額が30万円から34万円に上がると、
- 本人負担の増加:月5,640円(健康保険+厚生年金、料率28.2%の半分)
- 年間では67,680円の増加
この保険料は、9月から翌年8月まで残業の有無にかかわらず適用されます。
上がった保険料は将来の年金に反映される
保険料が増える一方で、厚生年金の保険料が増えた分は将来受け取る年金額に反映されます。
標準報酬月額が1年間4万円上がった場合の年金への影響
報酬比例部分の計算式(平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数)で計算すると、年金額は年2,631円増える計算です。20年間受け取ると約52,600円になります。
保険料の増加67,680円に対して、20年受給で約52,600円。受給期間が長くなるほど差は縮まります。
「4〜6月は残業を避けたほうが得」と言われることがありますが、負担と将来の受取りの両方が動くという点は押さえておく価値があります。どちらを重視するかで評価が変わります。
給与が大きく変わったとき(随時改定)
昇給・降給・手当の変更など固定的賃金が変わり、その後3か月の平均で2等級以上動いた場合は、定時決定を待たずに標準報酬月額が見直されます。これを随時改定といい、変動があった月から4か月目に反映されます。
残業代のような非固定的賃金だけが増減した場合は、随時改定の対象になりません。
賞与の保険料は別に計算される
賞与には標準賞与額(1,000円未満を切り捨てた額)に同じ料率をかけて保険料がかかります。上限は健康保険が年間573万円、厚生年金が1回あたり150万円です。
料率は月給と同じなので、年収が同じなら賞与の割合が変わっても社会保険料の総額はほぼ変わりません(上限に達する高年収の場合を除く)。
よくある質問
Q. 4〜6月の残業を減らせば保険料は下がりますか?
標準報酬月額が下がれば保険料も下がります。ただし将来の厚生年金額も下がり、傷病手当金や出産手当金など標準報酬月額をもとに計算される給付も減ります。
Q. 4月に入社した場合はどうなりますか?
入社時は資格取得時決定として、見込みの報酬額で標準報酬月額が決まります。その後、翌年以降は通常どおり4〜6月の定時決定の対象になります。
Q. 産休・育休中の社会保険料はどうなりますか?
産前産後休業中・育児休業中は、申し出により健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。免除期間も保険料を納めたものとして扱われるため、将来の年金額は減りません。
まとめ
- 健康保険料・厚生年金保険料は標準報酬月額(等級)で決まる
- 4〜6月の平均で決まった等級が9月から翌年8月まで適用される(定時決定)
- 標準報酬月額が4万円上がると本人負担は年約6.8万円増える
- 同時に将来の厚生年金も増える(年約2,600円・20年で約5.3万円)
- 固定的賃金が変わって2等級以上動くと、年の途中でも見直される(随時改定)
社会保険料が年収に対してどのくらいの金額になるかは、年収を入れると内訳で確認できます。40歳以上の介護保険料も切り替えて計算できます。
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参考・出典
※記事内の試算は当サイトの独自試算です(2026年度の料率・令和8年分の税制にもとづく概算)。社会保険料の等級、健康保険組合ごとの料率差、自治体ごとの住民税の差、個人ごとの各種控除は反映していません。