なぜ最低賃金は都道府県で違うのか:目安制度とランク分けの仕組み
更新日:2026-09-17
最低賃金は国が一律に決めているわけではなく、都道府県ごとに違います。2026年9月時点で最高と最低の差は195円あります。なぜ地域で違うのか、どう決まるのかを整理します。
決まるまでの流れ
地域別最低賃金は、毎年おおむね次の流れで改定されます。
- 厚生労働大臣の諮問を受け、中央最低賃金審議会が引上げ額の「目安」を示す(例年7月ごろ)
- 目安を参考に、各都道府県の地方最低賃金審議会が地域の事情をふまえて審議し、答申する(例年8月ごろ)
- 異議申出の手続を経て、都道府県労働局長が決定する
- 秋以降、順次発効する
審議会はいずれも、公益代表・労働者代表・使用者代表の三者で構成されます。目安はあくまで参考であり、実際の引上げ額は目安と一致しないことがあります。
ランク分けの仕組み
中央の審議会は、47都道府県を経済実態に応じていくつかのランクに分け、ランクごとに目安額を示します。2026年9月時点ではA・B・Cの3ランクに分かれています。
| ランク | 都道府県数 | 令和8年度の目安額 | 含まれる都府県の例 |
|---|---|---|---|
| A | 6 | 54円 | 埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪 |
| B | 28 | 56円 | 北海道・宮城・静岡・京都・兵庫・福岡 ほか |
| C | 13 | 56円 | 青森・岩手・鳥取・高知・沖縄 ほか |
令和8年度はBとCの目安額が同じ56円で、Aだけが54円と低く設定されました。これは地域差を広げない方向の設定です。
目安どおりになるとは限らない
各地方審議会は、目安を参考にしつつ地域の事情をふまえて答申します。そのため目安を上回る引上げになる県もあります。
令和8年度の答申では、引上げ額は54円から65円まで幅がありました。目安が56円のランクCでも、65円や64円を答申した県があります。人材の流出や近隣県との差を意識した動きと説明されることがあります。
令和8年度の引上げ額の分布(答申段階・2026年9月時点)
65円が1県、64円が1県、63円が2県、62円が2県、61円が4県、60円が4県、59円が5県、58円が4府県、57円が7県、56円が11道県、55円が3県、54円が3都府県。
地域差は縮んできている
最高額に対する最低額の比率は、地域差を見る指標として使われます。この比率は年々改善しています。
| 年度 | 最高額 | 最低額 | 比率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 1,226円 | 1,023円 | 83.4% |
| 令和8年度(答申) | 1,280円 | 1,085円 | 84.8% |
比率の改善は2026年9月時点で12年連続とされています。額そのものの差は195円と広がって見えますが、水準に対する割合では縮まっているという見方です。
なぜ一律にしないのか
最低賃金法では、地域における労働者の生計費、賃金、通常の事業の賃金支払能力を考慮して定めることとされています。生活費の水準も、事業者の支払能力も地域によって違うため、一律にしない枠組みになっています。
一方で、地域差が人口移動につながるという指摘もあり、差を縮める方向の議論も続いています。どちらの見方にも根拠があり、審議会での議論もその両方をふまえて行われています。
まとめ
- 中央の審議会が目安を示し、各地方審議会が審議して答申する二段構えで決まる
- 47都道府県はA・B・Cの3ランクに分かれ、ランクごとに目安額が示される
- 目安どおりになるとは限らず、令和8年度は54円から65円まで幅があった
- 最高額に対する最低額の比率は改善が続いている
月給や日給を入れると、時間額に換算して都道府県の最低賃金を満たしているかを判定します。対象から外す手当も分けて計算します。
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この記事の位置づけ
最低賃金法と労働基準法のの一般的な内容を整理したもので、個別の事案について結論を示すものではありません。就業規則や労使協定、加入している健康保険の定めによって取り扱いは変わります。実際の判断が必要な場合は、勤務先の担当部署か、所轄の労働基準監督署・総合労働相談コーナーにご相談ください。
参考・出典
※2026年9月時点の法令・公表資料にもとづいています。地域別最低賃金は毎年改定され、発効日は都道府県ごとに違います。最新の額は厚生労働省または各都道府県労働局のページで確認できます。