最低賃金とは:地域別と特定の2種類、誰に適用されるのかを整理する
更新日:2026-09-17
最低賃金は、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の下限を定めたものです。名前はよく聞くものの、「自分にも当てはまるのか」「どの額を見ればいいのか」は意外とはっきりしません。この記事では、最低賃金法の基本的な枠組みを整理します。
最低賃金は2種類ある
最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2つがあります。
| 種類 | 決まり方 | 対象 |
|---|---|---|
| 地域別最低賃金 | 都道府県ごとに1つ | その都道府県で働くすべての労働者 |
| 特定最低賃金 | 特定の産業について、都道府県ごとに設定 | その産業で働く労働者 |
ふだん「最低賃金」と呼ばれているのは地域別のほうです。ニュースで「全国加重平均が○円」と報じられるのもこちらを指します。特定最低賃金は一部の産業にだけ設定されており、両方が適用される場合は高いほうの額が適用されます。
適用されるのは「その都道府県で働く人」
地域別最低賃金は、事業場の所在地の都道府県のものが適用されます。住んでいる場所ではありません。たとえば神奈川県に住んで東京都の会社に通勤している場合は、東京都の額が基準になります。
雇用の形態は問われません。正社員でも、パート・アルバイトでも、契約社員でも、学生アルバイトでも、試用期間中でも適用されます。「学生だから」「短時間だから」といった理由で下回ってよいことにはなりません。
下回る合意をしても無効になります
労使が合意して最低賃金より低い金額を定めても、その部分は無効とされ、最低賃金額で契約したものとみなされます。「本人が納得しているから」という理由は通りません。差額は支払われるべきものとして扱われます。
例外として減額が認められる場合がある
ごく限られた場合に、都道府県労働局長の許可を受けて減額が認められる仕組みがあります。精神または身体の障害により著しく労働能力が低い人、試の使用期間中の人、認定職業訓練を受けている人、断続的労働に従事する人などが対象とされています。
これはあらかじめ許可を受けることが必要な制度で、会社が自分の判断で減額できるものではありません。減額率にも上限があります。
毎年10月ごろに改定される
地域別最低賃金は毎年改定されます。中央最低賃金審議会が引上げ額の目安を示し、それを参考に各都道府県の地方最低賃金審議会が審議して答申し、都道府県労働局長が決定する流れです。
発効するのは秋以降で、発効日は都道府県ごとに違います。令和8年度は2026年10月1日から12月2日にかけて順次発効する予定です(2026年9月時点)。自分の県の発効日が来る前は、まだ前年度の額が効力を持ちます。
直近の水準(2026年9月時点)
令和7年度の全国加重平均は1,121円。令和8年度は答申段階で1,177円(56円の引上げ)となり、最高が1,280円、最低が1,085円です。
時間額で決まっている
最低賃金はすべて時間額で定められています。そのため月給制や日給制で働いている場合は、いったん時間額に換算してから比べることになります。換算の手順には決まったやり方があり、また賃金のうち比較の対象から外すものもあります。
換算の方法は月給を時給に換算する方法で、対象になる手当とならない手当は最低賃金の対象になる手当で整理しています。
まとめ
- 最低賃金には地域別と特定の2種類があり、両方かかるときは高いほうが適用される
- 適用されるのは事業場の所在地の都道府県の額。住所地ではない
- パート・アルバイト・学生・試用期間中も対象になる
- 下回る合意は無効で、最低賃金額で契約したものとみなされる
- 毎年改定され、発効日は都道府県ごとに違う
月給や日給を入れると、時間額に換算して都道府県の最低賃金を満たしているかを判定します。対象から外す手当も分けて計算します。
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この記事の位置づけ
最低賃金法と労働基準法のの一般的な内容を整理したもので、個別の事案について結論を示すものではありません。就業規則や労使協定、加入している健康保険の定めによって取り扱いは変わります。実際の判断が必要な場合は、勤務先の担当部署か、所轄の労働基準監督署・総合労働相談コーナーにご相談ください。
参考・出典
※2026年9月時点の法令・公表資料にもとづいています。地域別最低賃金は毎年改定され、発効日は都道府県ごとに違います。最新の額は厚生労働省または各都道府県労働局のページで確認できます。