制度の決まり

最低賃金の対象になる手当・ならない手当:住宅手当と精皆勤手当で扱いが逆になる

更新日:2026-09-17

最低賃金を満たしているかを確かめるとき、月給の全額を使うわけではありません。比較の対象から外す賃金があります。ここを間違えると、満たしているつもりで下回っていたり、その逆になったりします。

対象から外すもの

最低賃金の比較では、次のものを賃金の合計から外します。

  • 精皆勤手当
  • 通勤手当
  • 家族手当
  • 時間外労働・休日労働・深夜労働に対する割増賃金
  • 賞与など、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
  • 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

考え方としては、毎月決まって支払われる基本的な賃金かどうかで分かれます。働いた時間に対する対価とは性格が違うものが外れる、と捉えると整理しやすくなります。

対象に含めるもの

上に挙げたもの以外は含めます。基本給のほか、役職手当・職務手当・資格手当・技能手当・交替手当などの毎月支払われる手当が該当します。

住宅手当は含めます。厚生労働省のセルフチェックシートで、合計する項目のひとつに挙げられています。名前が似ている家族手当が外れるので混同しやすいところです。

割増賃金の基礎とは範囲が違う

ここがいちばん間違えやすい点です。最低賃金の対象から外す賃金と、残業代の計算に使う割増賃金の基礎から外す賃金は、別の決まりです。そして2つの手当で扱いが逆になります。

手当最低賃金割増賃金の基礎
住宅手当含める一定の条件で外せる
精皆勤手当外す含める
通勤手当外す一定の条件で外せる
家族手当外す一定の条件で外せる
役職手当・資格手当含める含める
賞与(1か月を超える期間ごと)外す外す

「残業代の計算でこう習ったから」と同じ扱いをすると、住宅手当と精皆勤手当のところで数字がずれます。割増賃金のほうの考え方は残業代の基礎になる時給で整理しています。

名称ではなく実態で判断される

手当の扱いは、就業規則に書かれた名前ではなく実際の支払われ方で判断されます。次のような場合は、名前が「通勤手当」「精皆勤手当」でも対象に含めることになるという解説があります。

  • 通勤距離や実費に関係なく、全員に一律の額を支払っている通勤手当
  • 欠勤があっても減額せずに支払っている精皆勤手当

これらは実質的に基本給の一部と変わらないためです。判断に迷う場合は、勤務先か都道府県労働局・労働基準監督署で確認できます。

計算してみる

月給の内訳がこうなっている場合

基本給 180,000円(含める)
役職手当 15,000円(含める)
住宅手当 10,000円(含める
通勤手当 12,000円(外す)
家族手当 8,000円(外す)
精皆勤手当 5,000円(外す
残業手当 20,000円(外す)
─────────────
支給額の合計 250,000円/最低賃金の対象は 205,000円

支給額は25万円でも、比較に使うのは20万5千円です。月の所定労働時間が163.33時間なら時間額は1,255.1円になります。支給額そのままで割った1,530.6円とは275円の差が出ます。

まとめ

  • 精皆勤手当・通勤手当・家族手当・割増賃金・賞与・臨時の賃金は対象から外す
  • 住宅手当は対象に含める
  • 最低賃金の範囲と割増賃金の基礎の範囲は別物で、住宅手当と精皆勤手当は逆になる
  • 一律定額の通勤手当などは、名称ではなく実態で判断される

月給や日給を入れると、時間額に換算して都道府県の最低賃金を満たしているかを判定します。対象から外す手当も分けて計算します。

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この記事を書いた人

都内在住。Web制作・デザインに20年以上携わり、現在はインハウスでWeb制作や改善業務に関わっています。給与明細の数字がどう決まっているのかを自分で確かめたくなり、最低賃金や割増賃金の決まりを調べて整理したものを発信しています。

この記事の位置づけ

最低賃金法と労働基準法のの一般的な内容を整理したもので、個別の事案について結論を示すものではありません。就業規則や労使協定、加入している健康保険の定めによって取り扱いは変わります。実際の判断が必要な場合は、勤務先の担当部署か、所轄の労働基準監督署・総合労働相談コーナーにご相談ください。

参考・出典

※2026年9月時点の法令・公表資料にもとづいています。地域別最低賃金は毎年改定され、発効日は都道府県ごとに違います。最新の額は厚生労働省または各都道府県労働局のページで確認できます。