年収の壁と手取り|106万円・130万円を超えるとどうなるか
更新日:2026-09-14
配偶者の扶養の範囲で働く場合に意識される「年収の壁」。壁には税金の壁と社会保険の壁の2種類があり、手取りへの影響はまったく違います。2026年10月には制度の変更も控えています。
壁は2種類ある
| 種類 | 何が起きるか | 手取りへの影響 |
|---|---|---|
| 税金の壁 | 本人に所得税・住民税がかかる/配偶者の控除が変わる | 超えた分に段階的にかかるため、急には減らない |
| 社会保険の壁 | 扶養から外れて自分で保険料を負担する | 年収の約15%が一度に引かれるため、手取りが下がることがある |
「働き損」と言われるのは、主に社会保険の壁のほうです。
税金の壁(2026年時点)
- 住民税:年収110万円程度から課税対象(自治体により差があります)
- 所得税:令和8年分は基礎控除の引き上げにより年収178万円程度まで課税されません
- 配偶者控除:配偶者の給与収入が123万円以下なら配偶者控除の対象。超えても配偶者特別控除により、段階的に縮小します
税金の壁は、超えた瞬間に大きく手取りが減る性質のものではありません。所得税は超えた分にだけかかり、配偶者特別控除も段階的に減る設計になっています。
社会保険の壁(106万円・130万円)
社会保険の壁は、超えると自分で健康保険料と厚生年金保険料を負担するため、手取りに与える影響が大きくなります。
| 壁 | 内容 |
|---|---|
| 106万円 | 勤務先が要件(従業員数など)を満たす場合、週20時間以上などの条件で社会保険に加入 |
| 130万円 | 勤務先の規模にかかわらず、配偶者の健康保険の扶養から外れる |
年収130万円で社会保険に加入した場合の目安
- 健康保険料・厚生年金保険料の本人負担:年約19万円
- 雇用保険料:年約6,500円
- 手取りの目安:約110万円
扶養内で年収125万円だった場合の手取り(約123万円)と比べると、年収は増えても手取りは下回る計算になります。
この差を埋めるには、一般に年収150万円前後まで働くと手取りが扶養内を上回るとされています。勤務先の料率や年齢によって分岐点は変わります。
保険料を負担することで得られるもの
手取りが減る一方で、社会保険に加入すると次のような変化があります。
- 将来の年金が増える:厚生年金に加入した期間は、基礎年金に上乗せされる報酬比例部分が増えます
- 傷病手当金・出産手当金:病気やけがで働けない期間、出産のために休む期間に給付を受けられます(国民健康保険や扶養では原則対象外)
- 障害厚生年金:障害を負った場合の給付が手厚くなります
短期的な手取りと、長期的な保障・年金のどちらを重視するかで評価は変わります。
2026年10月から「106万円の壁」が変わる
賃金要件が撤廃されます
2026年10月1日から、社会保険の適用要件のうち賃金要件(月額8.8万円以上・年収106万円以上)が撤廃されます。企業規模の要件は2027年10月から段階的に縮小され、2035年10月にはすべての企業が対象となる予定です。
これにより、週20時間以上などの他の要件を満たせば、年収106万円未満でも社会保険の加入対象になる方が出てきます。
制度は移行期にあるため、自分の勤務先がいつから対象になるのかは、勤務先か年金事務所への確認が確実です。
よくある質問
Q. 130万円を超えたら必ず扶養から外れますか?
原則として、今後1年間の収入見込みが130万円以上(60歳以上や障害者は180万円以上)になると扶養から外れます。一時的な残業で超えた場合は、事業主の証明により扶養を継続できる仕組みもあります。
Q. 配偶者の会社の家族手当はどうなりますか?
会社独自の家族手当・扶養手当は、支給要件を会社が定めています。「配偶者の年収103万円以下」などの基準が残っている場合、税制の改正とは別に影響が出ることがあります。就業規則で確認しておく必要があります。
Q. 働く時間を増やすかどうか、どう判断すればいいですか?
手取りだけで見ると壁の手前が有利に見えますが、厚生年金や傷病手当金の対象になることの評価が人によって違います。また、勤務先の制度変更で加入が避けられなくなる場合もあります。まずは各年収での手取りを並べて、差額を把握するところからになります。
まとめ
- 壁には税金の壁と社会保険の壁があり、手取りへの影響が異なる
- 令和8年分は年収178万円程度まで所得税がかからない(住民税は110万円程度から)
- 社会保険の壁を超えると年収の約15%が保険料になり、手取りが下がる場合がある
- 手取りが扶養内を上回るのは年収150万円前後が目安
- 2026年10月から賃金要件(106万円)が撤廃され、対象者が広がる
参考・出典
※記事内の試算は当サイトの独自試算です(2026年度の料率・令和8年分の税制にもとづく概算)。社会保険料の等級、健康保険組合ごとの料率差、自治体ごとの住民税の差、個人ごとの各種控除は反映していません。