養育費の計算方法と子どもへの影響
算定表・法定養育費・親子交流
公開日:2026-04-10 更新日:2026-09-26
養育費は、子どもと離れて暮らす親が、子どもの生活費・教育費・医療費として支払うお金です。離婚しても親子の関係は続くため、支払う義務も続きます。
この記事では、金額の決め方と取り決めの残し方に加えて、離婚が子どもにどう影響するかについて紹介されている知見をまとめています。
養育費とは
養育費は、子どもと一緒に暮らして育てる親(監護親)が、もう一方の親(非監護親)から受け取るお金です。子どもの生活水準を、離れて暮らす親と同じ程度に保つという考え方で金額が決まります。子どもの権利という性格があるため、口約束ではなく書面に残しておくと、後から金額や期間を確かめられます。
算定表の読み方と目安
裁判所は、養育費の目安を出すための「養育費・婚姻費用算定表」を公開しています。2019年(令和元年)12月に改定された表が現在の基準で、調停や審判でも使われています。子どもの人数と年齢(0〜14歳/15歳以上)で表を選び、支払う側(義務者)と受け取る側(権利者)の年収が交わるところの幅を読みます。
年収が同じでも、給与か自営かで読む列が変わります。算定表はあくまで目安で、私立学校の学費や医療費など個別の事情があれば、話し合いで増減させることもできます。
いつまで支払うか
2022年4月に成年年齢が18歳に引き下げられましたが、養育費は「子どもが経済的に自立していない間」に支払うものとされているため、成年年齢の引き下げで自動的に18歳までになるわけではないと法務省が説明しています。成年年齢が20歳だった時期に「成年に達するまで」と取り決めた場合は、20歳までと解されるとされています。
大学進学が見込まれる場合は「22歳になった後の3月まで」のように終期を具体的に書いておく例が多く、書き方があいまいだと後で解釈が分かれる原因になります。
2026年4月からの新しいルール
父母の離婚後の子の養育に関する民法等の改正が2026年4月1日に施行され、養育費について次の仕組みが加わりました。
- 法定養育費:離婚のときに養育費を取り決めていなくても、子どもと暮らす親がもう一方の親に、子ども1人あたり月2万円を請求できる。取り決めができるまでの暫定的な仕組みとされ、2026年4月1日以降の離婚が対象
- 先取特権:養育費の債権に優先的な効力が付き、子ども1人あたり月8万円を上限として、公正証書や調停調書がなくても、父母の間の合意書などをもとに差し押さえを申し立てられるようになった
- 共同親権の選択:離婚後の親権を、父母の一方だけでなく双方とすることも選べるようになった
法定養育費の月2万円は、算定表で読み取れる額より低くなることが多い水準です。あくまで取り決めが無い間の下支えとされているため、算定表の額と比べたうえで取り決めておくと、どちらの額で支払うかがはっきりします。
不払いへの対応
厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」(令和3年度)では、母子世帯で養育費を現在も受け取っている割合は約28%にとどまっています。受け取れる状態を保つために、次の方法があります。
- 離婚協議書を公正証書にし、強制執行を受け入れる条項(強制執行認諾文言)を入れる
- 調停離婚・裁判離婚では、調停調書や判決にもとづいて強制執行ができる
- 支払いが止まったら、家庭裁判所の履行勧告や、強制執行の申し立てができる
- 2020年4月施行の民事執行法の改正で、相手の勤務先や預金口座の情報を第三者から取得しやすくなった
金額の変更
取り決めた後でも、支払う側の収入の増減、子どもの進学、受け取る側の収入の変化などの事情が変われば、増額・減額を求めることができます。まず相手と話し合い、まとまらなければ家庭裁判所に調停を申し立てます。どちらかが再婚して扶養する家族が増えた場合や、子どもが再婚相手と養子縁組をした場合も、見直しの理由になることがあります(離婚後の再婚)。
離婚が子どもに与える影響
「離婚は子どもに悪影響」という見方がありますが、研究の紹介では、離婚そのものよりも両親の対立の激しさ、経済的な不安定さ、養育の質の変化が子どもの適応に影響するという整理がよく示されています。ひとり親家庭でも、安定した養育環境があれば子どもは健やかに育ちうるという考え方です。
年齢による違い
- 0〜3歳:離婚そのものの記憶は残りにくいが、世話をする親の心の状態が養育に表れやすい
- 4〜7歳:「自分のせいで別れた」と感じやすいとされる年代で、親からの説明が支えになる
- 8〜12歳:怒りや悲しみを言葉にできる一方、両方の親への気持ちの間で葛藤しやすい
- 13〜18歳:思春期と重なり、一時的に成績や行動に変化が出ることがあるが、適応が早い年代でもある
- 成人後:親の離婚を、自分の結婚観と照らして捉え直すことがある
子どもの回復を支えるとされる要素
- 生活水準が急に大きく下がらないこと
- 一緒に暮らす親の心が安定していること
- 両親の対立を子どもの前で見せないこと
- 離れて暮らす親との交流が続いていること
- 学校や友人関係が続くこと(転校が少ないこと)
- 祖父母やスクールカウンセラーなど、悩みを話せる大人がいること
養育費は、この中の「生活水準」を支える役割を持っています。
子どもへの説明と親子交流
子どもへの説明は、年齢に合った言葉で「どちらの親も子どもを大切に思っていること」「離婚は子どものせいではないこと」を伝えることが大切だとされています。一方の親がもう一方の悪口を子どもに聞かせることや、「どちらの味方か」を選ばせることは、子どもの負担になりやすいと指摘されています。
離れて暮らす親と子どもが会うことは、2026年4月の改正で法律上「親子交流」と呼ばれるようになりました。適切な交流は子どもの気持ちの安定に役立つとされる一方、暴力などがある場合は安全を優先した方法が検討されます。回数・方法・連絡の手段を具体的に決めておくと、親どうしの対立が子どもに向かいにくくなります。
制度の一般的な仕組みと、判断に使える数字を整理したものです。個別の事情でどう扱われるかは、弁護士・法テラス・年金事務所・税務署・自治体の窓口などで確認できます。
算定表の目安は、令和元年版の算定表と、その前提になっている標準算定方式の計算で読み取った幅です(2026年9月時点)。個別の事情で変わるため、家庭裁判所の資料や弁護士への相談で確認できます。
費用の目安を無料で試算できます。
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